「対極」というコンセプト
そのうち、「地球や宇宙など、丸いものは神様が創った形だとしたら、四角はなんだろう」と考えるように。たとえば東西南北の方位もある意味では四角ですし、人間が作った数字の世界、建築などは四角。丸は常に動いていて底辺がありません。四角は底辺があり安定しています。その丸と四角のコントラスト、「対極」がおもしろいと思いました。
こうして、今も夢中になっている「対極」というデザインコンセプトが誕生しました。
たとえば、昼と夜は対極で、昼が赤だとすると夜は黒です。また地球上でいうと、北極と南極、東洋と西洋、あるいは天と地。そのほか、光と影、静と動など。そんなふうにこの世には2つの極があり、その美の世界をファッションで対立させてバランスをとるのが自分の仕事だと思うようになったのです。
光と影があるから、美しいシルエットが生まれます。相反する要素から成り立つものを、まずは近づいて見て、それから全体が見られるように引いて見る。私がデザインする服は、すべてそうした理念に基づいて作られています。