越乃リュウさん
(写真提供:越乃さん 以下すべて)
100年を超える歴史を持ちながら常に進化し続ける「タカラヅカ」。そのなかで各組の生徒たちをまとめ、引っ張っていく存在が「組長」。史上最年少で月組の組長を務めた越乃リュウさんが、宝塚時代の思い出や学び、日常を綴ります。第91回は「前月組組長の光月るうさん」のお話です。
(写真提供:越乃さん 以下すべて)

前回「劇場アニメ『ベルサイユのばら』が公開。原作を読み返し、池田理代子先生の偉大さに感動!アップデートされたアニメでも目の中の星は健在でした」はこちら

相変わらず明るい雰囲気の彼女

後輩のディナーショーにゲストとして呼んでいただきました。
月組で一緒に舞台に立っていた彼女とは11年ぶりの共演でした。

その後輩とは、前月組組長の光月るうさん。
コロナ禍で組を引っ張り、まとめ上げた頼もしき組長です。

私は光月るうさんの3代前の組長になります。
彼女との学年差は9期。
明るく人懐っこい人柄で、見た目怖そうでとっつきにくいと思われていた私に、学年差を飛び越え、すっと仲良くなっていた人です。

久しぶりに稽古を共にした彼女は、相変わらず明るい雰囲気のままでした。
終始笑顔の絶えない稽古場。
そんな彼女がMCで何を話すのか、たくさんある現役時代の思い出から何を暴露されるのかと身構えていました。
詳しいMCの打ち合わせなどなく迎えた本番。

出てきたのは『MAHOROBA』という公演でのエピソードでした。
『MAHOROBA』は、日本神話のヤマトタケルの誕生から死に至るまでの話を軸に繰り広げられるショーでした。
その中に、剣を持って舞う剣舞の場面がありました。
気鋭の三味線奏者、上妻宏光氏の勇ましくかっこいい三味線に合わせて踊るのですが、私の宝塚史上3本の指に入るものすごくしんどい場面でした。
戦いでみんなが斬られ、最後に首領の私が斬られ、斬られながら一節歌い倒れるクライマックスの場面がありました。