「越乃リュウはもっと出来るはず」
お稽古場。
先に斬られて倒れている光月るうさん。
最後に斬られる首領の私。
斬られながら最後の力を振り絞って歌います。
「この地に生きて、この地に死す。踏みにじられし、我らの誇り…」
ヤマトタケルとの一騎打ちに倒れ、命尽きる見せ場の場面です。
その場面を床に倒れながら聞いていた光月るうさん。
「あれ?……リュウさんもっと出来るんじゃないかな」と思っていたと。
そうなんです。
ありがたい見せ場をもらったにもかかわらず、そのときの私は、真ん中で斬られて歌って死ぬというのがどうにも恥ずかしく、やりきれていなかったのです。
こう見えて私は恥ずかしがりやで、エンジンがかかるまでに時間がかかるのです。
そんなある日、お稽古が終わりご飯を食べに行った帰り道、光月るうさんに言われます。
「リュウさん、あの場面緊張してますか?」
「そりゃあ、緊張するよ」
「リュウさん、もっと出来ると思う!私が斬り役をするからやってみましょう!」
「もっと苦しんで!」
「もっとやったほうがいい!」
などなど研究を重ね、次の日のお稽古で先生に褒められるという(笑)
そんなことがありました。
光月さん、私より9期下です。(笑)
「越乃リュウはもっと出来るはず」光月るうさんの名言です。
学年が離れていても、仲のいい仲間たちとはこんな感じでした。
その日は月組時代の仲間たちもたくさん来ていました。
いろんな話が飛び出し、時間を大幅にオーバーしたディナーショーは、笑いの絶えない楽しいディナーショーでした。