手や口を出したくなっても、ぐっとガマン
さらにNPOの活動が忙しくなった5年前、夕食後に夫が「これから、皿洗いはオレがやろうか」と言ってくれた。
「それまでの私なら、『大丈夫』と断ったと思います。夫も私がそう答えると思って、軽い気持ちで言ったのかもしれません。でもよっぽど疲れていたからか、『あら、ありがとう』って素直にお願いできて」
ただし、頼むからには、相手に任せる。手や口を出したくなっても、ぐっとガマンする。
「夫は洗剤や水を大量に使うし、食器を乱暴に扱って割れるんじゃないかとヒヤヒヤします。そばにいると気になるので、夫が皿洗いを始めたら、ちょっと離れたリビングで寝たふりをするように。食器の裏を洗い忘れてベタベタしていても、洗い直しは絶対しませんでした」
長男と長女が独立し、下の娘たち2人も社会人になった3年ほど前、「娘の一人が、『ママが忙しい日は、食事は各自でするようにしたら?』と提案してくれて。私の代わりに娘がご飯を作るとなると、負担が娘に移るだけ。でもこれなら、それぞれ好きなものを食べられる。いいアイディアだと思いました」。
とはいえ、自分が食事を用意しなかった日に、家族が何を食べたのかを知ると、「もっと栄養のバランスをよく」とか「脂っこいものばかり」と気になってしまうもの。だから、あえて聞かないのだと田村さん。
最近では、楽しい工夫も始めた。食事を作れない日は前もって、パソコンで作った「夕食各々」というシールをリビングのカレンダーに貼っておくのだ。
「NPOの仕事以外に、友だちとの飲み会のときも『各々シール』をペタリ(笑)。少しずつですが14年前の宣言どおり、『好きにやらせて』もらえるようになって本当に幸せです」
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3人の共通点は「強い意志」にある。主婦としての責任感や夫に申し訳ないと思う気持ちを抑えて「手は出さない」と決める。その強さが、周囲の協力や夫自身の努力を呼び込んだのかもしれない。3人の経験にならい、私も家事を減らして、心のゆとりを手に入れたいものだ。