『2001年宇宙の旅』のパッケージ
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1989年に漫画家デビュー、その後、膠原病と闘いながら、作家・歌手・画家としても活動しているさかもと未明さんは、子どもの頃から大の映画好き。古今東西のさまざまな作品について、愛をこめて語りつくします!(写真・イラスト:筆者)

スタンリー・キューブリック監督の叙事詩的SF

「2025年、年初に何を見る?」思った時に思いついたのが、『2001年宇宙の旅』だった。

1968年に公開されたスタンリー・キューブリック監督の叙事詩的SF。60年近い歳月がたった今でも「名作」と呼び名が高い作品だ。正直に告白するが、私は約60年の人生で既に2回、この作品を見ようとして挫折している。

しかし2025年を迎えた時、『2001年宇宙の旅』を見たいという、強烈な思いにとらわれた。断片的な記憶が私の脳裏に蘇り、全容を知らずにいられなくなった。そもそも私の大好きな『スパルタカス』を撮ったスタンリー・キューブリックの作品。今回はイケるんじゃないかという予感を抱き、私は夫と共にこの作品を見た。そしてやっと私はこの作品に痺れ、思った。「映画史に残る名作だよ!!」と。

『2001年宇宙の旅』の4コマイラスト
 

冒頭で、地球・月・太陽が一直線に並び、壮大な音楽と共に、月の片側に美しい光の環が浮かび上がる見事なオープニング。敵を倒したサルが雄たけびを上げ、空に放り上げた骨が宇宙船に変わる場面転換や構図の見事なこと! 今回こそ私はこの映画に没入し、キューブリックの才能に陶酔していた。「すごい、この映像感覚!そんでこの音楽!なんで若いころ、すごさが解らなかったんだろう!!」