心配だらけの世界を乗り切るすべ
激動の時代であろうと、ぼくは毎日、丁寧に献立を考え、買い物に出かけ、料理に精を出す。逆を言えば、コロナや戦争で不安定になりがちなこの心配だらけの世界を乗り切るすべは、毎日の生活の中にこそある。
料理をすることは、人生を維持する特効薬なのである。
自分が病に罹(かか)って不安になっても、もし身体が動くなら、ぼくはキッチンに立ち、健康を取り戻すための料理を開始するだろう。
自分が食べられなくても、家族のために作るだろう。
それは毎日を遂行したいという、その毎日の積み重ねがぼくらの一生を構成しているからだ。生きていられることに、感謝し、噛みしめて作ったものは残さず食べることだ。