そしてもうひとつ、有象無象のものに執着しないためには、日頃からの「もの選び」も重要です。心が磨かれた人は、愛着を重視してものを選びます。

たとえばペンを買うときに、適当に選んだものと、じっくり吟味して選んだものでは、愛着がまったく違うはずです。適当に選んだものは手荒に扱ったり、失くしたりしても気になりません。

しかし、愛着があるものは常に慈しみ、ものとしての命を輝かせる扱いができます。ぜひ、みなさんの身のまわりのものを見直してみてください。愛着があるものはどれくらいあるでしょうか。存在さえ忘れているものはありませんか? 掃除道とは、そのように大切なものだけを残していくことでもあるのです。

心のありようは、必ず空間に表れます。再び部屋が散らかってきたら、心がストレスを感じ、乱れてきたというサイン。まずは何も考えずに、無心で掃除をしてみましょう。

誰もが幸運を願っていますが、考えているだけでは幸せはやってきません。空間を磨き、自身の心を磨くこと。一日ひとつ、手を動かしてみる。誰のためでもなく、自分のための「掃除道」なのですから。