役者というのはすごく面白い職業だと思うんですよ。お医者さんにも、アイスクリーム屋さんにもなれちゃう。さまざまな役柄のそれぞれの人生を生きるなかで、いろいろな人と出会うこともできる。

ただ役者は楽しいけれど、若い頃は常に「俳優・仲里依紗」のイメージを求められることが、つらくもありました。役柄から離れたら素の自分でいたい、ファッションや言葉や行動で自分の「好き」をアピールしたい。

けれど私にはそれを周囲に伝え納得させる力がなかったので、取材やインタビューを受けるときは、外見や発言、受け答えもすべて演じていました。

この「自分」が出せないもどかしさを、かなり長い間抱えていたように思います。それが変わってきたのは、SNSの時代になったことが大きいです。同時に私も皆さんの声をちゃんと聞けるようになった。

それまで私の耳に入ってくるのは、限られた大人の声だけであることは感じていました。15歳から芸能界にいる私のために、良かれと思っての助言だとわかっていたから、私はそれが唯一の正解だと思い、従うことを選んでいたのです。

でも、正解はただ一つじゃないし、別に正解ばかりを求める必要もない。SNS上にはいろんな声があふれていて、私のことを面白がってくれる人もいれば、眉をひそめる人もいます。自分の「好き」を発信すれば、良きにつけ悪しきにつけ直接反応が届く。それはとっても自由で、時代が自分に寄り添ってくれた気がしてうれしかったんです。

後編につづく

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