NHK連続テレビ小説『おむすび』でヒロインの姉を演じる仲里依紗さん。《伝説のギャル》という役柄がピッタリと話題だ。私生活でも好きなファッションに身を包む姿や、飾らない人柄が世代を問わず人気を集めている。以前は求められるイメージを演じていたという仲さんが殻を破ったきっかけは――(構成:平林理恵 撮影:木村直軌)
朝ドラ出演は「ドッキリ」かと……
連続テレビ小説『おむすび』で、橋本環奈さん演じるヒロインの姉・米田歩役のお話をいただいたとき、「《伝説のギャル》という設定です」と言われ、「本当に? それとも、『ドッキリ』?」と、喜ぶ前にまずは疑ってかかりました。
「ギャル」は夜のイメージがあったので、「朝ドラ」と対極ではないかと感じて。だから伝説のギャルといっても、回想シーンに少し出てくるのかな? と思っていたんです。
そうしたら、とんでもなかった。金髪ギャルメイクはもちろん、チェックのミニスカートにルーズソックスの女子高生ファッション、全身ヒョウ柄に厚底ブーツで、パラパラまで踊っちゃった。朝ドラのヒロインのお姉ちゃん役で、まさかこんなにもギャルができるとは……。うれしかったですね。
というのも、ギャルこそ私の憧れだったから。『おむすび』は、平成時代の30年を描いていますが、それはまさに、平成元年生まれの私が駆け抜けてきた時代でもあります。1990年代後半のギャル文化全盛期、私は長崎の片田舎で、ギャルファッションの聖地、「SHIBUYA109」へ行くことを夢見る小学生でした。
当時はインターネットも今ほど普及しておらず、主な情報源は雑誌。知れば知るほど興味を掻き立てられるのに、残念なことに田舎ではギャルを見ることができなかったんです。かえって憧れが猛烈に膨らんで、私の中でギャルはスターになりました。