(写真提供:Photo AC)
肩こりや腰痛に悩み、病院に行ってレントゲンを撮っても「原因がわからない」と診断されてしまった……という方もいるのではないでしょうか。オクノクリニック総院長の奥野祐次先生によると、このような<ありふれた痛み>の原因は<血管>にあるとのこと。そこで今回は、東京医科大学准教授・遠藤健司先生との共著『こんなに痛いのにどうして「なんでもない」と医者に言われてしまうのでしょうか』から、奥野先生による解説を一部お届けします。

なぜ歳だから仕方がない、治療法はないと言われるのか?

肩こり腰痛五十肩ヘバーデン結節などと同じありふれた痛みであっても、例えば虫歯はどうでしょう? 虫歯の痛みは歯医者さんに行けば治してもらえますよね? 同じありふれた症状なのに、虫歯はしっかり対処してもらえます。ありふれた関節の痛みと虫歯の違いは何なのでしょうか?

その答えは、「原因が簡単に見てとれるものであるかどうか?」ということがカギになります。

虫歯は痛い箇所を直接観察すれば、歯の表面からエナメル質が溶けて、中の歯髄まで影響が及んでいるなど、どれくらい重症なのかが一目でわかります。レントゲンを撮れば、本来は白く映るはずのところに黒っぽく空洞のようになった虫歯が確認できます。そしてその場所が患者さんの痛みを感じている場所と一致します。

要するに痛みの原因がはっきりとわかっているため対処しやすいのです。閉ざされて細菌が巣食っている病変を開放・洗浄して補強すれば、虫歯の痛みは治まります。

一方で、肩こりはどうでしょうか? レントゲンを見ても、超音波で見ても、MRIで見ても正常にしか映らない。これでは何が悪いのかがさっぱりわかりません。現在の医療の標準的な検査方法では簡単には異常が発見できません。採血でも引っかかってきません。

だからこそ、肩こりはこれだけありふれているのに、治す方法がまだ見出されていなかったと言えます(最近になって新しい画期的な肩こりの治療法が開発されています)。