大量の漫画に浸って、気づいたこと

その後は、ペースに気をつけていたのですが、50代にまた仕事量が増えてきました。60歳をすぎて、再びペースダウンの必要性を感じました。そして何をしたかというと、だらけたんです。漫画喫茶に行って、漫画を読みました。

漫画は昔から大好きだったのですが、40代に入り、仕事が多忙になると、ゆっくり漫画を楽しむ気持ちを失ってしまいました。

自分にはもう漫画を読む能力がなくなってしまったのか、今時の漫画は自分には面白くないのか、と考えることもありました。

ところが時間が出来て改めて読んでみたら、これが途轍(とてつ)もなく面白かったのです。

映像化も相まって世間でも大ヒットとなった『マッシュル─MASHLE─』(甲本一作 集英社)、『葬送のフリーレン』(山田鐘人原作・アベツカサ作画 小学館)、『呪術廻戦(じゅじゅつかいせん)』(芥見下々作 集英社)、『推しの子』(赤坂アカ原作・横槍メンゴ作画 集英社)など、話題になった作品に目を通すことができました。

なんなら自分が大学で教えている学生より早く、新作漫画を知っているほどになりました。改めて大量の漫画に浸って、気づいたことがあります。漫画はまだ、言葉の力が生きている世界だということです。

描き込まれる知識レベルが、以前よりも格段と上がり、『ブルーロック』(金城宗幸原作・ノ村優介漫画 講談社)というサッカー漫画では、描かれる戦術が詳細になり、様々な個性を抱えたキャラクターの心情も細かく描き込まれています。

情報量も多く、展開の速い漫画を今の子どもたちは難なく読み解くのだから、非常に頭がいいと感じます。だらけた結果、こんな現状分析ができました。

 

60代からの知力の保ち方』(著:齋藤孝/KADOKAWA)