基本となるのは、自分と折り合いをつけることです。若いうちは自分に無限の可能性も感じますし、社会の行き先も不透明ですから、折り合いをつけることは難しいでしょう。

しかし50歳になれば、世の中がどういうものかわからない方は、少ないはずです。自分の能力や状態と社会をすり合わせ、折り合いをつけてきたはずです。

それが成熟ということですから、同じすり合わせが、定年という事態を前にしてもできないわけはありません。定年も加齢も、恐るるに足らずなのです。

世界的に見て、日本は少子高齢化のトップランナーです。2022年には出生数が80万人を割り込みました。

一方で2024年9月に総務省が発表した人口推計によると、高齢化率(65歳以上人口)は、29.3%と過去最高になりました。すでに2020年の段階で、高齢化率は世界一です。

ロンドン・ビジネススクール教授のリンダ・グラットンとアンドリュー・スコットは、こうした日本の現状を踏まえ「過去のロールモデル(生き方のお手本となる人物)があまり役に立たない」(『LIFE SHIFT 100年時代の人生戦略』池村千秋訳 東洋経済新報社)と、指摘しています。

他の国を参考にすることはなかなかできない状況で、私たちは自分たちのライフスタイルをこれから作っていかなければなりません。

 

※本稿は『60代からの知力の保ち方』(KADOKAWA)の一部を再編集したものです。


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