齋藤先生曰く、なぜか人はある程度の年齢を超えてくると、江戸時代を舞台にした時代小説を無性に読みたくなるものだそうで――。(写真提供:Photo AC)
2022年7月の厚生労働省の発表によれば、2020年に生まれた人のうち、男性の28.1%、女性52.6%が90歳を迎えると予想されるなど、長寿と呼ばれる人の割合は年々増えています。一方「年を重ねたからこそわかる本があり、読書を始めれば、何歳でも人は変わることができる」と話すのが明治大学文学部の齋藤孝先生です。齋藤先生曰く、なぜか人はある程度の年齢を超えてくると、江戸時代を舞台にした時代小説を無性に読みたくなるものだそうで――。

時代劇がテレビから減ったなら、代わりに小説で

いつのころからか、テレビの時代劇がめっきり減ってしまいました。『水戸黄門』も『必殺仕事人』も、もう地上波の連続ドラマとしてはありません。

その代わり、BSやCSなどでひと昔前の時代劇を再放送していて、一定の視聴率を稼いでいたりするそうです。新しい時代劇が消えても、時代劇ファンが消えたわけではないのでしょう。

ドラマがないなら小説があります。特にある程度の年齢を超えてくると、なぜか江戸時代を舞台にした時代小説を無性に読みたくなる、という方は多いと思います。世知辛い現代からトリップしたいという気持ちもあるし、どう転んでも一五〇年以上前の話という安心感もあります。

それに応えるように、この分野の小説は今も人気が高いようです。代表格はやはり、池波正太郎の『鬼平犯科帳』(文春文庫)や『剣客商売』(新潮文庫)など。

私も疲れたときに『鬼平犯科帳』を読むと、ちょっと落ち着ける気がします。だいたい似たような話が多いのですが、だからこそ安心できるのです。

それに、やはりかつてはテレビドラマにもなっています。最近はそれがBSで再放送されているので、私はしっかり録画しています。あるいは映画にもなったので、そのDVDも持っています。これらを気分しだいで選択することで、鬼平の世界にどっぷり浸かることができるわけです。