齋藤先生曰く、「生命科学」研究の草分け的存在・中村桂子さんの言葉から学ぶことは多いそうで――。(写真提供:Photo AC)
2022年7月の厚生労働省の発表によれば、2020年に生まれた人のうち、男性の28.1%、女性52.6%が90歳を迎えると予想されるなど、長寿と呼ばれる人の割合は年々増えています。一方「年を重ねたからこそわかる本があり、読書を始めれば、何歳でも人は変わることができる」と話すのが明治大学文学部の齋藤孝先生です。齋藤先生曰く、「生命科学」研究の草分け的存在・中村桂子さんの言葉から学ぶことは多いそうで――。

中村桂子さんが創始した「生命誌」とは

「月刊誌」「週刊誌」といえば雑誌を指しますが、雑誌以外の「誌」もあります。それが「生命誌」。三八億年前から続くあらゆる生命の膨大な歴史の物語を読み解こうという試みを指します。

これを創始されたのが、JT生命誌研究館名誉館長の中村桂子さん。もともと日本における「生命科学」研究の草分け的な存在でした。

しかしその研究は、しだいに生命を機械のように捉えて機能や構造を解明することに主眼が置かれるようになったとのこと。そうではなくて、生きものとして全体を捉えて研究すべきではないかと考えて立ち上げたのが「生命誌」だったそうです。

その中村さんの近刊『老いを愛づる』(中公新書ラクレ)は、フィクションも含めた各界の方々の言動や作品を素材にしつつ、生命についての考察を深めたエッセイ集です。

共通するテーマは「自然体で暮らす」ということ。刊行時に八六歳の中村さんが、その年齢を素直に受け入れ、「老いをマイナスとしてばかり捉えるのでなく、なかなか面白いところもあると思っている気持ちを語ってみたくなりました」として書かれたのがこの本です。