まど・みちおさんの魅力

中村さんはまた、同書で童謡「ぞうさん」や「一年生になったら」の作詞家として知られるまど・みちおさんにも触れています。

まどさんは一〇四歳という長寿を全うされましたが、最後の本『どんな小さなものでもみつめていると宇宙につながっている』(新潮社)を出されたのは一〇〇歳のとき。詩集ではなく言葉集ですが、このタイトルからもわかる壮大さ、自由な発想がまどさんの魅力でしょう。

たとえば、以下の言葉を紹介しています。

<生まれたところだけがふるさとではなく、死んでいくところもふるさと。宇宙をふるさとにすれば、一緒のところになります>

中村さんは「このように言われると、心が広くなって穏やかな気持ちになります」と述べておられますが、まさにそのとおりでしょう。

まど・みちおさんの詩は、心が広くなって穏やかな気持ちにしてくれる(写真提供:Photo AC)