我が家の猫のおかげで全国大会に

我が家の猫が、イメージ作りに一役買ってくれたこともありました。未来がコンクールの課題曲であるモーツァルトのソナタを練習していたときです。モーツァルト独特の語りかけるようなフレーズがどうしてもうまく弾けず、悩んでいました。

そんなある日、我が家の茶トラ猫、プリンが甘えるように寄ってきてベロンとお腹を出してゴロゴロしている姿を見てハッとしました。

(写真はイメージ。写真提供:Photo AC)

「プリンが甘えるときの仕草、モーツァルトのここのフレーズにぴったりじゃない?」。

「本当だ!」と、未来もすぐにピンときて、「このフレーズは高いところにヒョイっと飛び乗る感じだね、このフレーズはウーンと伸びをしている感じかな」と次々発想が膨らみます。楽譜にもいろんな仕草をしているプリンの絵を書き込み、イメージしながら弾いているうちに彼女の演奏は格段に生き生きとしてきました。

そして、プリンのおかげで、この曲を弾いて全国大会に進むことができたのでした。

漠然と楽譜に書かれたことを守って演奏するよりも、イメージを持って演奏する方がずっと音楽が生き生きします。そして、それはもっと高いレベルの演奏をする時にも大切なことです。ファンタジーが好きな未来は、幼い頃から音楽に豊かなイメージを込めることが自然に習慣づいていたように思います。

このように、「好きなこと」を取り入れながら、練習自体を楽しいものにしてしまう、というのが我が家流のやり方になっていきました。