日本武道館での思い出

現在は、ニューヨークに住み、日本をはじめ世界各地をコンサートで飛び回る。最高の演奏を聴いてもらうためには努力をおしまない。しかし、本番中には思わぬことに遭遇するも…。

筋トレをして、健康的な食事に気をつけて、コンサートの前日は9時間寝ます。演奏中の僕は、何かがのりうつったという表現が近いかもしれません。ピアノと自分が一体化しています。演奏の最後にピアノの音色が消える瞬間も重要です。ピアノは、声と違い「あーあー」と大きく音を伸ばすことができない。そこが難しいですね。

角野隼斗さんのコンサートの模様
(c)Ryuya Amao (c)角野隼斗ドキュメンタリーフィルム製作委員会

想像できないようなハプニングも経験しました。日本武道館のコンサートで『トルコ行進曲』(編集部注:角野さん編曲、24の調によるトルコ行進曲変奏曲)を弾いていたら、僕の背中にセミが止まった。

僕は気づかずに第1部が終わり、立った時にセミが飛び立つのが見えたのです。一部のお客様は気づいたようですが、僕は幻覚を見たと思いました(笑)。

第2部ではセミが足元にいて、アンコールでは足にセミがしがみついていたのです。そのままコンサートを終え、セミとのツーショットを撮りました(笑)。演奏中にセミが鳴かなくて良かったですよ。

角野隼斗さんのX(@880hz)より。日本武道館でのコンサートを共にした、セミとのツーショット