豆政 夷川五色豆

京都御所にほど近い老舗。
王朝風の五色の
おめでたい豆菓子は
百三十年以上
京都人に愛されている

通りが碁盤の目になっている京都の町。通り名を覚える数え歌の「丸、竹、夷(えびす)、二、押(おし)、御池(おいけ)」というフレーズは、京都御苑の南にある「丸太町通、竹屋町通、夷川通、二条通……」のことを指しています。豆政はまさにこの「夷」、つまり夷川通にある豆菓子の老舗です。

このあたりは名水で知られる梨木神社や下御霊(しもごりょう)神社にも近く、豊かな地下水に恵まれた場所。豆を活かしてさまざまな商品を生み出すこの店もまた、敷地から湧き出す地下水を使っています。

創業は明治十七年、三年後の二十年から五色豆を作り始めたといいます。砂糖が一般的になりはじめた頃で、煎った豌豆(えんどう)豆に砂糖衣を纏わせたその味は、京の人たちを喜ばせたでしょう。

白・赤・黄はシンプルな砂糖、緑は青海苔、茶は肉桂(ニッキ)の味。関西では青海苔といえば川海苔で、こちらでは香り高い吉野川産を使用しています。