セルフケアで「ほどほど」を目指す

榊原 年齢を重ねると、体だけでなく精神的な衰えも感じます。複数のことを同時に考えられなくなったり、段取りがスムーズにできなくなったり。私の場合、体の不調というより、むしろそちらのほうが大きいかもしれません。

高尾 女性ホルモンが失われると認知機能にも影響が出ますし、メンタルが不安定になる人もいます。子どもが独立したり介護していた親御さんが亡くなったりして、何かと「喪失感」を抱きやすい年代でもありますね。

榊原 私も夫が亡くなったとき、心にポッカリ穴が開いたようでした。でも、「悲しい、悲しい」と沈んでばかりでは、周りの人も気を使うでしょう。もちろん悲しい気持ちはぬぐえませんが、周りの人と気軽に夫の話をしたかったので、なるべく明るくしていようって。

高尾 そうですね。すぐに立ち直るのは難しいけれど、頑張りすぎず、自分ができることをできる範囲で心がければいい。セルフケアも同じです。完璧である必要はないので、少しだけ底上げするつもりで「ほどほどの健康」を目指しましょう。

榊原 「ほどほど」でいいんですね。先生のお話を聞いて、ちょっと気がラクになりました。

高尾 そして何より「続ける」ことが大事です。郁恵さんのように、自分でいいと思える習慣を見つけて続けていらっしゃるのは理想的! 50代以降の女性は、心身の衰えをゆるやかなカーブにしていくのが目標ですから、昨日できたことが今日もできるのは「進化」なんですよ。

榊原 維持することが進化! いい言葉ですね。これからもずっと元気でいたいので、私も自分の体の声に耳を傾けながら、無理せず頑張りたいと思います。