私の腕の中で永眠。「待って!」と叫んだけれど……
ゴンと家族の闘病生活が始まりました。放射線治療で腫瘍は少し縮んだものの、完治は望めない病気。「ゴンにどうしてあげたいですか?」という獣医さんからの問いに、私は「ゴハンを食べられるようにしてあげたいです」と答えました。流動食でもなんでも、ゴンに「お腹いっぱい〜」って笑ってほしい。獣医さんと話し合いをして、ゴンを支えていこうということになりました。
それから7ヵ月。2014年の1月に、ゴンは私の腕の中で息を引き取ったのです。「待って!」と叫んだけど、行ってしまいました。
言いようのない喪失感……。でもゴンは7ヵ月頑張ってくれた。そして私たち家族もできる限りのことはした。当初はそんな「やりきった感」があったからか、ひどく落ち込むことはありませんでした。でも時間が経つにつれ、私はあれこれと細かいことを自分に問いかけるようになってしまったのです。
大きな病気との闘いは、選択の連続。自分のことなら簡単なのに、愛犬のことになるととたんに難しい。あの選択が、本当にゴンのためになっていたのだろうか。あの時はこれで良しと思っていたことも、思い返せば他にも方法があったような気がしてしまいます。
そもそも下痢が続いていた時に、ゴンのお腹の健康について私は真剣に考えたのか? あの時点で手を打っていたら、がんにかかることはなかったかもしれない。そこまで遡ってしまうのです。