「自分は世の中から必要とされていないのでは」どん底の経験から得たこと

いつものように、妻と窓際のカウンター席に並んで座り、ドリップコーヒーを分け合って飲んでいたときのことです。窓の向こう側で、ベビーカーに乗せられた犬が、飼い主からマンゴーフラペチーノを食べさせてもらっている様子が見えました。

その光景を見て、私は衝撃を受けました。無職でお金もなく、1杯のコーヒーを二人で分け合っている自分と、マンゴーフラペチーノを食べさせてもらっている犬と、どちらが世の中から必要とされているのか、考えてしまったのです。

『新しいNISA投資の思考法 お金の悩みから解放される 正しい「長期・積立・分散」のはじめ方』(著:柴山和久/ダイヤモンド社)

「不採用通知ばかり受け取って、誰からも必要とされていない自分は、犬以下なのではないか」。そのような思いを抱きました。

しかし、あとから振り返ってみると、自分は犬以下だと感じたこのときの経験は、私にとってむしろ大きな心の支えとなっています。「この先、どんなことがあっても、あのときほど惨めな思いをすることはないはずだ」。どん底とも言える経験をしたからこそ、そのように考えられるようになりました。

その5年後、私は自分で会社を立ち上げることになりますが、スターバックスでの出来事があったからこそ、リスクを取って起業することができたと思っています。