(写真提供:Photo AC)
「人生100年時代」といわれるなか、老後のお金が心配な方も多いのではないでしょうか。40万人以上の資産運用に関わってきたお金のプロ、ウェルスナビ代表取締役CEOの柴山和久さんは、「何歳までお金が必要になるのかは誰にもわからないからこそ、資産運用を続けて、お金の心配を減らすことが重要」と話します。そこで今回は、柴山さんの著書『新しいNISA投資の思考法 お金の悩みから解放される 正しい「長期・積立・分散」のはじめ方』より一部を抜粋してお届けします。

1杯のコーヒーを夫婦で分け合う日々

2010年の夏、私は妻と、東京・四谷三丁目のスターバックスにいました。当時の私は、フランスのビジネススクールを卒業し、帰国して仕事を探していました。

家庭を優先するために財務省を退職した後、ビジネススクールを卒業すれば仕事が見つかるだろう、と考えていました。しかし、現実は思っていたよりも厳しく、応募しては、書類選考や面接で落ち続ける日々を過ごしていました。

夫婦ともに節約志向だったため、ビジネススクールに入る前には、財務省時代の年収の2年分ぐらいのお金を貯めていました。しかし、留学に相当のお金がかかったうえに、帰国してからも仕事が見つからない状況が続いています。そのため、貯金はどんどん減っていました。

経済的に追い詰められていく中でも、妻と二人でスターバックスに毎日のように通っていました。そして、1杯のドリップコーヒーを頼んで、夫婦でシェアして飲んでいました。

なぜ一人1杯のコーヒーを買う余裕がないのにスターバックスに通っていたかというと、世界中に店舗のあるスターバックスの店内に入ると、世界とつながっている感覚になれたからです。当時、ときどき面接に呼ばれるぐらいしか行くところのなかった私にとって、世界とつながっている感覚を保つことが、とても重要でした。