資産運用を行ってきたかどうかだけで……
なぜ、普通の生活をしている妻の両親が、多くの資産を築くことができたのか。その答えは、若いときから資産運用をコツコツと続けてきたことにありました。
妻の両親に特別な金融知識があったわけではありません。また、もともと豊かだったわけではなく、学生の時は、就職のための面接で着るスーツを買うお金がなく、借金をしたそうです。
しかし、就職後に職場の福利厚生で、富裕層向けのおまかせの資産運用が利用でき、20年以上をかけて資産を築いたということでした。プライベート・バンクから見れば、将来の顧客を青田買いできたことになり、企業にとっては従業員の福利厚生になり、まさに「三方良し」です。
運用報告書を見ながら、日本人の自分の両親のことが頭に浮かびました。私の両親は、妻の両親と同じような年齢、学歴、職歴ですが、持っている資産の額には10倍ほどの開きがありました。
私の両親も、退職金で住宅ローンを完済し、年金を受け取れるので、日本の中では恵まれた層に入ると思いますが、バブル崩壊以降は基本的に預貯金だけで資産を持っていました。資産運用を行ってきたかどうかだけで、日米の両親の間には、10倍もの金融格差が生まれたことになります。
もしも、日本人の両親も、プライベート・バンクが提供するような富裕層向けの資産運用を行っていたとしたら。そして、両親のように、日本で普通に働いている人たちが使える資産運用サービスが普及していたとしたら。
日本全体は、10倍とまでは言わないまでもいまよりももっと豊かになっていたのではないか。そのような考えを持つようになりました。