何かあるんじゃないかと大学へ
悠木 いま学生? どこの。
勘九郎 國學院です。大学に行こうと思ったのは、何かあるんじゃないかと思って。好奇心が強いから、それで入ったわけですよ。友だちを見つけたい。勉強よりも。でも、未だに誘いの電話があったり、夜飲みに行ったりするのは、みんな高校の友だちですね。
悠木 珍しいですね。たいがい大学で友だちができるんだけれども。じゃ、ほとんど学校は、行かないときのほうが多いのね。
勘九郎 ええ、ことしになってからは……。去年は行きました。
悠木 それは大学で勉強する期間、惚れた人と一緒にいたほうがものにはなりますね(笑)。
勘九郎 なるほどね。
悠木 だって、何にもならないもの。行ってただ勉強しているよりはね、そのほうが人間も見られるし、すてきな発見もあるんだろうなと思う。
※本稿は、『人生、上出来 増補版 心底惚れた』(中央公論新社)の一部を再編集したものです。
『人生、上出来 増補版 心底惚れた』(著:樹木希林/中央公論新社)
樹木希林さんが見つめた男と女、夫婦、家族。度肝を抜く言葉のジャブ、間を詰めて相手の本心を引き出す才知。稀代の男たちとの伝説の対談『心底惚れた』に、生前未発表「夫婦の最後を語る」インタビューを収録