「美に対してはすごくこだわりがあります」

やっと自分を肯定できた

悩みが深まるなか、2年ほど前、長いお付き合いのある湯川れい子先生に、「こんなダメな自分が仕事をしているのは申し訳なくて……」と愚痴をこぼしたことがありました。

先生は、デビューから見守ってくださっている方で、「何言ってるの! あなたには神様からもらった使命があるのよ。声もいいしルックスもいい。それだけのものを持っているのだから、あなたはあなたらしくやりなさい」とおっしゃいました。その言葉にすごく励まされて、これまで自分なりに努力して積み上げてきたことは無駄ではなかったのだと、初めて自分を肯定できたのです。

そんなとき、一昨年話題になった映画『ボヘミアン・ラプソディ』を観て、衝撃を受けました。フレディ・マーキュリーの苦悩や寂しさ……。求めても、努力しても手に入れられないものがある苦しさ。大スターゆえの孤独……。共感できたし、刺激を受けました。

そんな私のためにQUEENと交流のある湯川先生が奔走し、訳詞も手掛けてくださって、昨年ついに「ボヘミアン・ラプソディ」をコンサートで歌うことを実現できたのです。

QUEENのこの曲を、私は初めから日本語で歌うべきだと考えていました。日本人である自分が、日本の皆さんにフレディ・マーキュリーの心を伝えるには、やはり日本語の訳詞しかないと思っていたからです。会場のみなさんにその思いが少しでも届けられていたらいいな、と思います。

 

子どもの頃から長髪に憧れて

とはいえ、自分らしく生きることは簡単じゃありませんよね。特に日本の社会は、大きく変わってきているとはいえ、まだまだ自分と違う人間を受け入れる寛容さが足りないと感じます。海外に行くと、人と違うことを個性として大事にしてくれる。

私も海外を訪れる機会が増えて、外国人の知り合いもたくさんできましたが、向こうの人は世間体なんか気にしないし、自分と他人を比べたりしない。私にもみんな、「自分の個性を育てて自分らしく生きたほうがいい」と言ってくれます。