「プライベートの充実が仕事の充実であり、仕事の充実がプライベートの充実につながると思います」

日本では、人と違うことがいじめのきっかけになったりしますよね。私も小学生のとき、舌足らずで女の子みたいな喋り方だったので、同級生にからかわれて……。喋り方だけでなく、もともと男っぽい遊びとかも好きじゃなかったから、仲間に入れたくなかったんでしょうね。

でも、いとこたちといつも一緒に遊んでいたので、学校の友だちがいなくても平気でした。いとこは女の子ばかりだったけど、一緒にいるとすごく安心できた。でも大人になるにつれて、なかなか一緒に過ごせなくなり、本当に一人ぼっちになった気がして寂しかったですね。

自分の生まれて初めての記憶が3歳のときなんです。母はそれまで私の髪を長く伸ばしてくれていましたが、あるとき、いきなり父方のおじいちゃんにバリカンで刈られちゃった。私がわあっと泣くと、母がおじいちゃんに「何するんですか! この子にはそげなことしなくていいんです」と言って泣いていた。そのとき、長い髪でいたかったのに、と悔しく思った記憶が残っています。

その記憶のせいか、子どもの頃から長髪に憧れて、大人になったら思い切り髪を伸ばしたいと思っていました。それが、念願の芸能界に入り、演歌でデビューしたら、逆にできない状況になっちゃった。でもこれからは長髪でも何でも、「自分らしい表現」だと思うことはどんどんやります。

もう一つ、芸能界で生きてきたなかで、プライベートの不自由は強く感じてきました。芸能人はとかく、“プライベートはなくて当たり前”みたいな状態に陥りがちだと思いますが、そうであってはならないと思います。

おかげさまで自分は今、公私ともに充実しています。以前は「プライベートを捨てて歌一筋に生きます」と発言したこともありますが、どちらか一方を犠牲にした幸せは何か違う。プライベートの充実が仕事の充実であり、仕事の充実がプライベートの充実につながると思います。

インスタグラムを始めてからは、自分で撮った写真をアップしたり、自由な表現を楽しませてもらっています。メイクや衣装、照明に徹底的にこだわった新しい私の表現に興味を持ってくださる方が増えて、フォロワーが20万人を超えました。時折、買い物や愛犬とのショットなどプライベートな部分も公開しますけれど、その際も“きれいでスタイリッシュ”という基本は外しません。