「何人かの賢人は先を読んだのでしょうけどね、われわれ凡俗は、自然の流れに従って生きていくしかありません」
Q. 人生100年時代といわれます。いつまで生きることになるか、わからないから不安です。

そんな心配は、何もいまに始まったことじゃありません。何千年もの間、いつまで生きるかわからない、先が読めないって思いながら、人間は生きて死んできた。そういうものなんです。何人かの賢人は先を読んだのでしょうけどね、われわれ凡俗は、自然の流れに従って生きていくしかありません。

こんな悩みがあるっていうのは、現代はそれだけ生きていくのにゆとりができたってことですね。

 

Q. 60代以降も働くことが推奨される世の中です。いったい何歳まで働かなくてはいけないのか、考えると気が重くなります。

「働かなくてはいけない」っていうんじゃなくてね、人間は働くようにできてるんですよ。私のように96歳になると、働きたくても思うように体が動かない。それでいて気持ちだけは妙にエネルギーが残っていて、本当に苦しいですよ。

「老後はのんびり暮らしたい」なんてよくいいますけど、のんびりっていうのはそんなに幸せなもんじゃない。のんびりできてよかったと思うのは、病気になったときだけですよ(笑)。健康な人間だったらやっぱり、働くことで幸福感が湧いてくるものです。

私も求められるうちはなんとか頑張りたいと思っていますよ。「佐藤も最近ちょっとおかしくなってきたから、もう仕事は無理なんじゃない?」なんていわれるようになるまではね。(笑)


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