自分の役割を全うする人
そうでした。
彼女は下級生の頃からいつだって落ち着いている人でした。
慌ててキリキリしているところなど見たことがありません。
いつだって舞台に対する姿勢はブレることなく真面目で、誠実に向き合っている頑張り屋さん。
そして、どんな立ち位置でもちゃんと自分の役割を全うする人。
それがちなつでした。
彼女が花組に組替えになった時、とても寂しく感じたものです。
でも組替えを経験したことで、彼女は確実に大きくなりました。
花組で華やかなオーラを身につけ、いろんな経験が自信となり、懐の深い包容力のある男役に成長しました。
舞台人には、技術だけではなくプラスαの魅力が必要です。
トップという存在は特にそのプラスαの魅力が観客を惹きつけ、組を引っ張る大きな要素となります。
私の中でちなつは、癒やしの人です。
雰囲気が柔らかくて、その穏やかな空気にいつも癒やされていました。
温かい人柄は人に安心感を与えます。