「91歳の女優らしいレッドカーペットの歩き方を皆さんにお目にかけられたら、と思っています」

『九十歳。何がめでたい』では、ずいぶんたくさんの賞をいただきました。日刊スポーツ映画大賞の主演女優賞、報知映画賞の特別賞、ヨコハマ映画祭の特別大賞、日本アカデミー賞の優秀主演女優賞……。この歳になるとね、もらえるものはもらっておこうと思って(笑)。両手を出して、素直にいただくことにしています。

この記事が出るころには、日本アカデミー賞の授賞式が終わっていることでしょう。優秀主演女優賞をいただきましたので、当日はドレス姿で、レッドカーペットを歩くことになっています。

受賞の連絡をいただいたとき、周りがとても喜んでいました。あまり喜ぶので、「よかったわね、おめでとう」と言って握手をしながら、「あ、歳が上だからよ、きっと」なんて憎まれ口を叩いたりして。でもね、内心では私だって嬉しいんですよ。誰かから「おめでとう」と祝ってもらえるのは、いくつになっても嬉しいことですから。

日本アカデミー賞の授賞式はこれで二度目。最初は3年前だったのですが、映画『老後の資金がありません!』で優秀助演女優賞と会長功労賞をいただいたときのスピーチで、「今度は主演女優賞で戻ってきます」と口にしたそうなのです(笑)。

私はまったく覚えていないのだけれど、そういうことをつい言ってしまうのよね……。だから、少なくとも、嘘つきにならずに済んでよかったと思って。

会場には知っている顔もいるでしょうし、レッドカーペットを歩くのも楽しみ。途中で転んだりしてはいけないから、どなたかがエスコートしてくださるといいのだけど。

91歳の女優らしいレッドカーペットの歩き方を皆さんにお目にかけられたら、と思っています。