《お尋ね者》を演じてみて
そう、昨年10月に91歳になりました。誕生日を迎えるとともに文化功労者にも選出していただき、大変光栄に思っています。多くの方からお祝いの言葉をいただき、事務所はしばらく、きれいなお花で溢れていました。
そしてまもなく、次なる私の主演映画『アンジーのBARで逢いましょう』が公開されます。私が演じるアンジーという女性は、謎のお尋ね者(笑)。ある日、ふらっと街にやってきて、いわくつきの物件を借り、いろいろな人の手を上手に借りながらBARを開くんです。
最初、台本を読んだときは、よくわからないけれど西部劇のようだな、と思いましたね。流れ者が街にやってきてひと騒動を巻き起こすお話でしょう? そういう話をいまの時代にやるのは面白いかもしれない、と引き受けることにしました。しかもその流れ者がおばあさんなんて、素敵じゃない。
すでにこの映画を観てくださった関係者からは、アンジーは草笛さんそのものですね、といった感想をいただきます。実際、この話をいただいたときも、プロデューサーに「脚本家の天願(大介)さんが書くアンジーは、草笛さんそのものなんです」と言われました。
私がお尋ね者ってこと? 失礼だわ、と思いながら、それならそれでこちらは身を任せるので、あとはうまくお料理してもらいましょ、と腹が決まりました。

「リアカーに乗って住宅街を移動するシーンは楽しかったですね。稀有な体験。女優の醍醐味だな、と思いました。ディーン・フジオカさんのバイクの後ろに乗って走ったのも、気持ちよかったです」(草笛さん)(c)2025「アンジーのBARで逢いましょう」製作委員会