最初に違和感を覚えたのは、2人で久しぶりにランチに出かけ、クラス会の話題になった時のこと。旧友の一人ひとりに否定的なコメントをしてけなすのだ。たとえば、「Bって相変わらず痩せてて羨ましいわー」と私が言うと、「でもあの子、20代の時にセフレがいたんだよ。セックスで最高の快感を得るためにヨガまでやってるって言い出した時は気持ち悪かった」と。

別の人の話を持ち出すと、「でも宗教にハマってたこと知ってる?クラスの半数に電話で勧誘したらしくて、今はみんなに嫌われているんだよ。だからクラス会にも出席してなかったでしょ」などと、弾丸のように悪口エピソードが止まらない。

また、別のクラスメートの話になった時も、「でも保育園の時にあの子、私のパン取ったんだよ」と言い、開いた口がふさがらなかった。40年前の話をそんな熱量でできるなんて、よほど記憶力に優れているのだろう。

一番驚いたのは、美人で有名だった同級生が、久しぶりに会っても40代とは思えない若々しさだったと、私が話した時だった。

彼女がけなされているのは聞いたことがないし、さすがにおとなしく首肯するだろうと思ったのに、「でもあの子って『ミスターレディ』みたいじゃない?」と、またしても「でも」レシーブで打ち返されたのだ。

美人のけなし方にそんな角度や語彙があったのかと感心さえしてしまう。確かに彼女は女性としては骨太だが、だからこそのスタイルのよさ、という印象だ。学校一の美女をそんな目で見ていたのかと衝撃だった。