とてもじゃないけれど無理
それからも私は恋愛における嫉妬にはずっと苦しめられている。好きな人ができればライバルに嫉妬しまくり、恋人になればどこぞの女性に奪われるのではないかと不安になり、周りにいるありとあらゆる女性に呪いをかけてしまう。
私は私で大丈夫。自分に自信を持てばいい。私の魅力がわからない男性に自分はもったいない。恋人に依存せずに楽しい毎日を一人で送れる女性が一番魅力的。そして本当に相手を愛していれば心から信じられるはず。たとえ彼が私以外の人を好きになったとしても、彼の幸せを喜んであげられるのが本当の愛。
……なんてことは正論かもしれないが、私にはとてもじゃないけれど無理だ。
いつまで経っても自分に自信なんて持てないし、心から信じてしまって裏切られたとしたら死ぬほど傷つくだろうから信じることだってできない。私を裏切った男(と女)に幸せになってほしいなんて露ほども思えない。全員もれなくどこかで行き倒れになればいい。
傷つかないで済むようにあまり好きにならないでいようと心がけたり、男女の恋愛なんてそんなものだと諦めて割り切って楽しめばいいと言い聞かせたりもしてみた。
しかし、いつだって気づけば一人だけ相手に夢中になっていて、いつのまにか嫉妬の鬼と化していた。
美容師だった頃、同じサロンで恋人と働いている時期は特に嫉妬で忙しかった。女性客が多いので一日中嫉妬まみれだ。彼となじみの指名客の席にそっと近づいて会話を聞いたり、カラーやパーマでヘルプに入って邪魔をしたりした。女性を美しくする仕事なのに、そいつらには「なるべくブスに仕上がれ」と呪った。
恋人のSNSを6年分遡って読んだこともある。元カノや、怪しい女友達の返信も血眼で見た。傷つきたくないのなら見なければいいのに。今は私を愛してくれているんだから、過去なんて関係ないのに。
そこには必ず予想通りの最悪な事実があり、見れば確実に傷ついて絶望する。わかっている。それでも吸い寄せられていくのだ。
もはや、傷つきたくてわざと見に行っているような気すらする。私はマゾなんだろうか? 本当は幸せになりたくないんだろうか?