永遠のアイドル「マヒナスターズ」
そんな中、「演歌歌手名鑑」なる特集の組まれたカラオケ雑誌を戯れに立ち読みしていると、ちいさな枠に「マヒナカナリヤスクール」などと書かれているではないか。
マヒナスターズ。小学校の卒業アルバムの「好きな芸能人」欄にも刻んだ、永遠のアイドルだ。
案の定、講師には、メンバーである人の名が。グループでは目立たない存在ながら、大柄で優しい目をした、風格のあるギタリスト。ここに行けば、実物のその人に会えるのだろうか。
記載されていた住所を頼りに、その戸越銀座にあるカラオケ教室を尋ねたのは数日後のこと。自分は気が弱いくせに、昔からやたらと妙な行動力はあった。
小学生にして、分厚い電話帳だけを頼りに、津久井という寂れた人造湖のほとりにある家から、バスや電車であちこちの中古レコード屋や古本屋を渡り歩いていたし、麒麟児に会いたい一心から、1人で3時間もかけて両国国技館へ行き「出待ち」をしたこともある。
会えなくて、泣きながら帰ったのだが。