刺激がいっぱいの青春時代
さらに、私の人生を左右した出来事といえば、高校卒業後、御茶ノ水にあった文化学院の美術科に進んだことでしょうか。実は、ほかに進学したかった大学があったのだけれど、落ちてしまって。さてどうしようと思い、親戚に勧められた文化学院を見学しに行った時、私に合いそうだと直感したのです。
文化学院は自由な校風で、普通の学校では味わえないことばかりでした。授業の講師は、板画家の棟方志功さんや洋画家の村井さん、宗教哲学者のさんなど一流揃い。個性豊かなクラスメイトたちからも刺激をもらいました。あれが私の青春時代。
西洋から一気に入ってきた新しいカルチャーに触れ、芸術を語り合ったり音楽を聴いたり、ファッションを競ったりしながら自由を謳歌しました。この学校で学んだことは、今も私の糧となっています。
卒業後は、パリでオートクチュールを学ばれた原のぶ子先生が設立した洋裁学校に通いました。本格的に洋裁を学びたいという思いと、もう一つ、山のように舞い込む縁談から逃れたかったから(笑)。
自立したかったというより、自由でいたかったのです。原先生の指導は厳しかったですが、おかげで美しいシルエットの服をつくるための技術を習得することができました。