教養レベルを上げれば……
一方、大都市以外には、お金のかからないエンターテインメントがいくらでもある。
たとえば、草原に寝っ転がって空を眺めていれば、さまざまな雲が流れてくる。小鳥のさえずりが聞こえてくる。近所を少し歩くだけで、さまざまな植物が芽を出し、花を咲かせている。
ただし、それらを楽しめるかどうかは、その人の持つ教養レベルに大きく依存する。
雲の名前、鳥の名前、虫の名前、植物の名前を知っているかどうか。どこにきれいな湧き水があるのか。どこで魚釣りができるのか。どこに秘湯があるのか……。それを知らなければ、田舎は楽しくない。
逆に言えば、教養レベルを上げれば、エンターテインメントを楽しむために、わざわざムリをして働く必要はなくなるということだ。
日本で一番面積の小さい村は、富山県の舟橋(ふなはし)村というところで、面積は3.47平方キロメートルだという。その広さは、東京都千代田区の3分の1にも満たない。村内には、工場がひとつあるだけで産業の大部分は農業だ。
ところが、そんな小さな村に異変が起きている。人口が急増しているのだ。1985年の村の人口は1419人だったが、2025年には3313人と2倍以上に増加している。
一体なぜ、そんな奇跡が起きたのか。