好きなことをやっていけば、自動的に教養は積み重なっていく

大都市でカネを稼ぐことに追われる生活から逃れる術(すべ)は、自分で農業をして食料の自給をすることと、太陽光パネルで電気を自給することがコスト面ではメインになる。そして、もうひとつ重要なのはエンターテインメントを自給することではないだろうか。

私の同級生は60代後半を迎えて、軒並み年金生活に入っている。

なかでも、豊かな老後を過ごしているな、と私が感じるのは、若いころにやっていたギターやドラムを再び取り出し、仲間とバンドを組んで音楽活動をしていたり、一眼レフのカメラを持ってあちこち撮影に出かけたり、俳句の会に所属して俳人になったり、オリジナルの紙芝居を作って児童施設などで披露したりしている人たちだ。

彼らのエンターテインメントには、ほとんどお金がかかっていない。それでも、大都市で提供されているお金のかかる出来合いのエンターテインメントと同じか、もしかしたら、それを超えるくらいの刺激を受けて活動をしている。それもこれも、自ら楽しむための教養を身につけていればこそだ。

教養というと、何かむずかしいことを想像されるかもしれない。だが、好きなことをやっていけば、自動的に教養は積み重なっていく。

そうして、教養を身につけること自体が一種のエンターテインメントになるのだ。

エンターテインメントは、どこにでも転がっている。ただ、それを楽しむ教養のない人は、お金でエンターテインメントを買うしかない。

 

※本稿は、『森永卓郎流「生き抜く技術」ーー31のラストメッセージ』(祥伝社)の一部を再編集したものです。

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