「治療費のためだけではありませんが、私は最近、手持ちの株をすべて売り払いました」(写真提供:森永さん)
経済アナリストとして長年活躍し、歯に衣着せぬ弁舌にファンの多い森永卓郎さん。2023年末にがんであることを公表したが、今も病気と闘いながら、使命感をもって仕事を続けている。現在の体調と、仕事への思いを聞いた(構成:山田真理 写真提供:森永さん)

前編よりつづく

最後に本当のことをぶちまけて……

オプジーボはかつて非常に高価な薬だったのですが、数年前から原発不明がんに限って保険適用という扱いになりました。約80万円の3割負担ですから、1回二十数万円を毎月払っています。

さらに血液免疫療法は自由診療ですから、1回50万円弱かかっている。確定申告の医療費控除は年間200万円が限度なのですが、私はもう2月の段階で超えちゃった。

今はすべて自腹で、毎月120万円ずつ貯金がずるずると減っている状態です。

普通のサラリーマンだったらすぐに家計破綻したかもしれませんが、幸い私はフリーになった40代後半からめちゃくちゃに働いて稼いでいた時期があります。テレビやラジオのレギュラー17本、雑誌連載四十数本、大学の講義に毎月20本の講演。秒単位で予定が組まれ、自宅にはまったく戻れませんでした。

それでいて私は「ケチだぬき」とあだ名がつくくらい(笑)、お金にはシビア。都心にマンションを買うわけでもなく、高級車にもグルメにも興味がなく、資産はそれなりに残せていました。