不平不満を語るのはマイナスの自己満足
それに、不平不満を語る人は、その不満を行動に移さない。それが周囲の人間には不甲斐なく見える。
そもそも行動に移す気がないからこそ、不平不満を語ろうとする。あまりに非生産的であって、何も意味がない。マイナスの自己満足でしかない。
行動に移す気のないマイナス思考は聞いて気持ちの良いものではない。「だったら、もうやめたらどうなの」「不満があるんなら、堂々と正式の場でしっかりと議論して、改革のために行動したらどうなんだ」と言いたくなってくる。
不平不満を口にして、周囲を不愉快にさせる行為自体、きわめて愚かといえるだろうが、それだけではない。このタイプの人は、自分の愚かさをさらけ出している。
不平や不満というのは、基本的に自分の境遇、自分のしている事柄について納得がいかない、理想からほど遠いという気持ちの表れだ。
言い換えれば、自分はこの境遇にはふさわしくない、自分はもっと恵まれた状況にいるべき人間なのだという主張でもある。
つまり、不平不満は裏返しの自己主張でしかない。卑劣な陰口という形で「本当は、私はこんな立場にいるべき人間ではない。もっとよい地位を与えてほしい」という叫びにほかならない。
不平不満には、そのような陰にこもった必死さがある。そのような必死な欲望を表に出して語っていることが滑稽なのだ。
※本稿は『頭のいい人が人前でやらないこと』(青春出版社)の一部を再編集したものです。
『頭のいい人が人前でやらないこと』(著:樋口裕一/青春出版社)
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