ぜひ報道してほしいと思っていても……

徹夜までして一生懸命に書いた判決です。報道陣の前で朗々と読み上げて、テレビや新聞で大きく報道されることを想像すると、なんとも高揚するのでしょう。

裁判官室を後にして、法廷に向かう際には、「ジャーン」という音楽まで頭の中で聞こえてくるかもしれません。しかし、扉を開けてみたら、新聞記者は皆無だった――などということもあり、「あれ」と拍子抜けする場合もありますが。

『裁判官の正体-最高裁の圧力、人事、報酬、言えない本音』(著:井上薫/中央公論新社)

ぜひ報道してほしいと思っていても、裁判所は弁護団のように記者クラブに赴いて、「明日の判決はすごく面白いから、ぜひ法廷に来てね」と事前に予告することはできません。

ですので、せっかくの判決なのに、誰も注目してくれなかった……などと残念に思うこともあるのです。