憲法違反を含む判決を言い渡すと……
もちろん、裁判官の職務とは別にテレビに出るとなると話は別です。時によっては脱線して裁判官にふさわしくない発言をしたということになると、場合によっては懲戒処分だとかということもあるだろうと思います。
しかし、判決の言い渡しで正当な手続のもとに写真撮影とかテレビ録画などがされて放送される分には、別に悪いことはしていないわけですから問題はないわけです。
憲法違反を含む判決を言い渡すと、だいたい新聞ではトップニュースとして扱われ、新聞の一面に出ることが多いのではないかと思います。私もカメラが法廷に導入された初期の頃の話ですが、写真撮影が行われて新聞の記事に写真が載ったことがあります。そのときに記念にどうぞということで新聞社から写真をもらったことがありました。
私はそこまで考えて仕事をしていたわけではありませんが、結果として悪い気はしませんでした。この辺は微妙な心理で人によるので、何とも言えませんが、スター気分を待ち焦がれている裁判官も中にはいるといってもよろしいだろうと思います。
※本稿は、『裁判官の正体-最高裁の圧力、人事、報酬、言えない本音』(中央公論新社)の一部を再編集したものです。
『裁判官の正体-最高裁の圧力、人事、報酬、言えない本音』(著:井上薫/中央公論新社)
本書は元判事の著者が「裁判官の独立」がいかに脅かされやすいのか、そして、裁判官がいかに俗物であるかを明らかにします。
袴田事件のようなとんでもない冤罪事件が起きるのはなぜなのか。
その淵源を直視します。