1980年代初頭の漫才ブームで中軸を担った「B&B」の島田洋八さん(75)。漫才師として芸能界の頂点に駆け上がり、映画『鮫肌男と桃尻女』(1998年)など役者としてもキャリアを重ねてきました。65歳で大腸がんに罹患。2023年には妻の真紀さんが57歳で逝去するなど、人生の悲哀も噛みしめてきました。今痛感する成功のために最も大切なもの。そして、相方・島田洋七さんへの思いとは。(取材・文・撮影:中西正男)
この世界は運が大事
去年、兵庫県高砂市で6年ぶりに洋七と漫才をしました。今年に入ってからも2人で舞台に立ったんですけど、どんなネタをやるとか事前の打ち合わせは一切なしです。相方がしゃべりだしたら、サッと合わせる。そんな感じです。
イヤ、別にカッコつけてるわけじゃないんですけど(笑)、相方がね、ネタを教えてくれないんですよ。「お前には教えない!新鮮味がなくなるから」と。だからね、舞台上での「なんでやねん!」はセリフではなく全部心からの「なんでやねん!」です。リアルな会話の上でのツッコミですから。
昔に比べるとかなりネタのテンポはゆっくりになりましたけど、それはそれでお客さんにとっても聞きやすいみたいですし、今の僕らにも合っている。
もう2人とも70代半ばになって、僕も大きな病気を経験しました。漫才はどっちかがいなくなったら終わりです。周りでもどちらかが先にあっちの世界に行ってしまったという仲間がたくさんいます。幸い、ウチは2人とも生きている。これも、ただただありがたいことですけど、つくづくこの世界は運が大事。そう思います。