コテコテの徳川方

武元の人物像として、「コテコテの徳川方」っていうのを出したかったんです。家康が作った、「平和への方程式」は正しいという信条があって、それを継承していくのが重要な仕事だと考えている。

そこへ、新しい勢力として、米本位から金や銀による貨幣本位にしていくことを高らかに叫んでいる意次という相手がいた。先進的な意次と相対する役ということで、手や体をあまり動かさないような昔ながらの時代劇の芝居をしました。

(『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~』/(c)NHK)

15回では、家基の殺害を調べる過程で、意次の忠義を認める場面がありました。家基が殺されたのは明らかなので、武元にも大きな心の変化はあるに違いないんです。 「意次に反対しているけど、しかし」という気持ちはあったと思います。

武元は自分自身は去るつもりだと思うんですよ。 西の丸にいても、お世継ぎは死んでしまった。彼の仕事がなくなるわけですよね。力がある人は、意次しかいない。 そしてずっと見ていると、世の中は彼の言うような方向に変わっていく。

結局言いたかったのは、「志は一緒なんだ」ということです。長いシーンでしたが、こっち側から撮ったり、謙さん側から撮ったりと、セットの壁を外して撮影するので大変でした。