(『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~』/(c)NHK)

 

江戸のメディア王として、日本のメディア産業、ポップカルチャーの礎を築いた人物“蔦重”こと蔦屋重三郎(横浜流星)の生涯を描く大河ドラマ『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~』。幕府の重鎮、松平武元(たけちか)を演じたのが石坂浩二さんです。吉宗から家治まで徳川将軍3代に仕えた老中首座で、昔ながらのやり方にこだわり、先進的で商業主義の田沼意次(渡辺謙さん)とたびたび衝突。4月13日放送の第15回「死を呼ぶ手袋」では意次の忠義を認める発言をしたものの、急逝しました。石坂さんに武元役に込めた思いと14年ぶりの大河出演について語ってもらいました。(取材・文:婦人公論.jp編集部)

「保守の親分」

蔦屋重三郎を主人公に江戸時代中期を描く大河ドラマをやると聞いて、おもしろいなと思いました。大河ドラマでは幕末はありましたが、初めて取り上げる時代ですよね。ただ、オファーをいただいた役は、松平武元役。幕府のほうなんだなと少し残念でした。私、ちょっと絵が描けるから絵師役が来るんじゃないかと思ったんですよ。

松平武元さんと聞いたときは、誰だかわかりませんでした。調べてもなかなかわかりにくくて。結局あっちこっちからお話を聞いたり、資料を読んだりしました。3代の将軍に仕え、西の丸でお世継ぎになる人に仕える老中ということでした。

舞台となる時代は、徳川の世が長く続き、 保守的な政策で町民たちの力がどんどん強くなってきた世の中。そこで武元がいる場所から考えると、つまりは保守の親分。そしてこの先も徳川を続けていこうと考えている最後の人かなととらえていました。