漢方薬に対して「飲んでみたが効かなかった」「エビデンスがないしあやしい」というイメージをお持ちの方もいらっしゃることでしょう。しかし「漢方薬にはエビデンスが数多く存在し、漢方薬の効き方が一定でない背景には、腸内環境の乱れが深く関わっている可能性がある」と指摘するのは、サイエンス漢方処方研究会の理事長で医師の井齋偉矢先生。そこで今回は井齋先生の著書『漢方で腸から体を整える』から一部抜粋・再編集してお届けします。
漢方薬にもエビデンスはある
医療者の中にも、漢方薬の現状をよく知らない人が「漢方薬にはエビデンスがない」と断言されているのを耳にすることがありますが、実際のところ漢方薬にはエビデンスが数多く存在します。
最もわかりやすいサイトとして、日本東洋医学会のホームページに「漢方治療エビデンスレポート(http://www.jsom.or.jp/medical/ebm/er/index.html)」というページがあり、ここに多くの二重盲検ランダム化比較試験(DB-RCT)が掲載されています。
二重盲検ランダム化比較試験というのは、最も厳格で信ぴょう性の高い結果が得られる試験として知られています。
試験に参加する人(被験者)を無作為に二つのグループに分け、一方には本当の試験薬を投与し、もう一方のグループには本物と区別のつかない偽薬を投与して、両者の結果を比較する試験法です。被験者も研究者も、どちらのグループが本物の試験薬を投与しているのかわからない状態で行うことから、薬物や治療法などの効果を評価するうえで最も信頼できる方法の一つとされています。
そうした二重盲検ランダム化比較試験で行った漢方薬の研究データが、前記のページに数多く載っています。一般の方でも入ることができ、自由にプリントアウトできます。ぜひ多くの人に見ていただけるとうれしく思います。