日常診療で漢方薬を用いる医者は増えているが……
漢方薬を日常診療で用いる医者の割合は増えています。正確な数字は調査の時期や対象によって異なりますが、複数の調査で8割から9割の医者が漢方薬を処方しているという結果が出ています。
漢方処方の普及に尽力している私としては、高い処方率に対して本来は喜ぶべきところですが、実際どこまで一人ひとりの患者さんに対し、その人に適した漢方薬が処方されているのかについては正直疑問があります。
例えば、新薬の咳止め薬の供給が不足して手に入りにくくなったときに、咳に使える漢方薬が出荷制限になるほど使われました。しかし、漢方薬には新薬のような定番の「咳止め薬」というものは存在しません。
患者さんの咳の症状に応じた薬を処方することになり、効かないときは次々に変えていくのが原則です。