緩和ケア医でも患者になると痛みを我慢してしまう

ただ、夕方というのは病棟にとって微妙な時間です。おそらく、日勤と夜勤の看護師さんの切り替わりでバタバタしています。そのため、看護師さんが回ってくるまで1時間ほど我慢して待ってしまいました。夕食を持ってきてくれたときに、そういえば……みたいな雰囲気を作って、ロキソプロフェンをもらったのです。

夕食と同時にロキソプロフェンを飲んだら、しっかりと効いてきて楽になりましたが、就寝時間を過ぎて深夜には、また痛みが強くなってきました。それはそうです。夕方に飲んだのですから、深夜には効き目は切れてきます。

(写真はイメージ。写真提供:Photo AC)

このまま眠れないかなと粘ってみたのですが、痛みで眠れそうもありません。1時間ほど迷いに迷って、ついにナースコールを押しました。それを知った看護師さんは、私のことをたしなめるようにこう言います。

「我慢しないで、すぐ呼んでくださいね」

普段、緩和ケア医として私が患者さんたちに言っているセリフです。そのまま私も言われてしまいました。緩和ケア医でも、自分自身が患者になったら、痛みは我慢してしまっていました。いくら我慢しないように言われても、それでも我慢してしまうのが患者なのです。