皆さんに知っておいてほしいこと

緩和ケアは終末期の患者さんが受けるもの、強い痛みのある人が受けるものといった誤解をされることがあります。がんと診断されたばかりの患者さんにとっては、無縁のものと感じているかもしれません。

でも、実際は違います。がん患者さんのさまざまなつらさ、困りごとに対して関わるのが緩和ケアです。つまり、病気の時期は関係ないのです。診断されたばかりの困りごとも、自分一人で悩むのではなく、病院で解決するために緩和ケアを受けるべきです。

『緩和ケア医師ががん患者になってわかった 「生きる」ためのがんとの付き合い方』(著:廣橋猛/あさ出版)

がんと診断され治療に臨まれる患者さんが抱える困りごとは、ざっと考えても以下のようなものがあると考えられます。

・治療の効果や予後に関すること

・病気や治療に伴う痛み、その他の症状

・がん治療(手術、化学療法、放射線療法など)による副作用

・職場や学校での長期間の休暇

・がんと診断されたことによる気持ちのつらさ

・家族への心配とその将来に対する不安(子供の世話、配偶者への影響など)

・医療費の支払い、失業や休業に伴う収入減少

・治療や病気に伴う身体的変化(外見の変化、体重の増減など)

・がん治療が日常生活へ与える影響

・社会的なサポートを受ける方法

・食事や運動の工夫

・死に関わること

これら、すべてが緩和ケアの対象です。