がん相談支援センター
がん相談支援センターには、がんに詳しい専門の看護師や、医療相談員が配置されています。ここで相談する内容はどんな些細なことでも構いません。身体のこと以外でも、気持ちのこと、仕事やお金のこと、先々への不安、なんでも気がかりになっていることをお話しできます。
必要であれば、がん治療を担当している主治医だけでなく、緩和ケアの専門家、院外の医療者などとも連携して、対策を練ってくれるでしょう。なにか具体的な相談の内容が決まっていればもちろんよいですが、なにに困っているかわからないけれど漠然と不安で話を聞いてもらうというだけでも構いません。そこまで大袈裟にしたくない場合でも、気軽に相談相手になってもらうこともできます。
そもそも緩和ケアは私のような緩和ケア医による診察がすべてではありません。つらいことや困っていることに対するサポート全般が緩和ケアです。がん相談支援センターには専門的な相談ができる看護師や医療ソーシャルワーカーがいますので、困りごとの内容によって適切な人が相談に乗ってくださいます。主治医に確認した方がよい場合は、間を取り持ってくれますし、緩和ケア医による診察が望ましい場合は案内してくれるはずです。
また、がん相談支援センターでなくても、治療で関わる場所で医療者が相談に乗ってくれることも、立派な緩和ケアです。入院される方は、その病棟の看護師。外来で抗がん剤治療を受ける方は、点滴を担当する看護師や薬剤師。そういった人たちに相談してみるところから緩和ケアを始めてみてもよいでしょう。
ぜひ、このがん相談支援センターから緩和ケア、困りごとの相談をしてください。
※本稿は、『緩和ケア医師ががん患者になってわかった 「生きる」ためのがんとの付き合い方』(あさ出版)の一部を再編集したものです。
『緩和ケア医師ががん患者になってわかった 「生きる」ためのがんとの付き合い方』(著:廣橋猛/あさ出版)
2023年5月にがんと診断され、長期のがん治療を余儀なくされることを公表した廣橋猛医師。
がんの緩和ケア医療を専門とし、医師として患者に正面から向き合ってきたが、いざ自身ががん患者になると戸惑うことが多くあったという。
本書は自身の体験を踏まえて、医者と患者の2つの視点からがん患者やその家族ががんと付き合っていくために必要な知識を解説していく。