孤独死するのが怖い

(2) 孤独:人の命は1つの身体に宿り、2つとして同じものはありません。

一卵性双生児として生まれて来ても、別の命で、別の経験をして生きています。同じように見ていると思っている世界でも、人の数だけ見え方があり、別々の世界に住んでいるのです。

これを仏教では「業界(ごうかい)」といいます。

したがって、生まれてから死ぬまでの体験は、他者には100%理解はされず、「自分のことを分かってもらえない」という寂しさに耐えなくてはなりません。

『仏説無量寿経(ぶっせつむりょうじゅきょう)』というお経では「独生独死独去独来(どくしょうどくしどっこどくらい/人間は、生まれてくるのも独り、死ぬのも独り)」と唱えられています。

たくさんの人に囲まれいろいろな人と関わっても、根本的には孤独であり、生まれてくる時も死ぬ時も、誰もあなたに代わることができないという教えです。

「孤独死するのが怖い」というのは分かります。しかし、たとえ看取ってくれる人がいても、最後はみんな1人で死ななければいけません。そういう意味では、全員平等に孤独だともいえます。

 

死の恐怖や絶望感(写真提供:Photo AC)