渡辺謙の受けの演技
源内を助けようと、蔦重は須原屋(里見浩太朗)とともに田沼に会いに行く。源内は刀を売り払っていて腰に帯びていたのは竹光であること、酒に酔っていたとされているが源内は下戸であること―。
だが、訴えもむなしく、源内が獄死したことが伝えられる。その場を去ろうとした田沼に蔦重は激昂して、「忘八め」と怒鳴りつける。怒りに満ちた目つきとやりきれない感情を表現した横浜の演技が印象に残った。
「あの場面は、蔦重、須原屋、意次と源内を大事にしている人たちが集まっている。本来なら政権のトップ近くにいる人に対してそんな暴言を吐くなんてありえないけれど、そうなってしまうくらい源内のことを思っているし、田沼だから言えた部分もある。すべてが合致したからこそ、流星さんの演技もあそこまでできた。流星さんは役の本質部分、台本に描かれていないところを埋めてくれる。だからああいう表情になっていくのかなと思いました。そこが流星さんの魅力です。(田沼演じる)謙さんが演技を受けてくれることによってぶつけることができたのも大きな要素だと思っています」